【漫画】ダカールラリーにちなんだモータースポーツ漫画3選 - ウレぴあ総研
年が明けたと思ったら、1月も半ばが過ぎました。2012年の元日から、ほぼ地球の反対側で開催されていたのがダカール・ラリーです。1月1日にアルゼンチンのマル・デル・プラタをスタート、チリを通り抜けて、ペルーのリマまで9000キロメートルを超える距離を、14日間で走り抜きます。以前はパリ・ダカールラリーと呼ばれ、ヨーロッパとアフリカで開催されていましたが、政情不安などもあり南米で開催されるようになりました。しかし"世界一過酷なレース"と言われる内容には変わりありません。
車やオートバイなどのモータースポーツをテーマに描かれた漫画がたくさんあります。そこにモータースポーツを好んで描く漫画家が少なからずいることで、知識があり思い入れも強いために、詳細かつ臨場感のある作品となっています。作品数から言えば、モータースポーツでもバイクレースやサーキットレースが多いのですが、ダカール・ラリーに合わせて、ラリーを主軸に描いた作品を紹介します。
まず小学館の「ビッグコミックスペリオール」で連載されていた『ガッデム』(新谷かおる)です。テクニックは一級品ながら実績のないドライバーの轟源(とどろき げん)が主人公で、架空の企業を渡り歩きながらも、次第に頭角を現す様を描いています。興味深いのはラリーレースと共に、それを支えるスポンサーである企業までも詳しく描いているところです。レースに参加するためには、お金やスポンサーが必須なのですが、そこに一筋縄では行かないビジネスの内情を絡めることで、より展開を楽しめるものにしています。
ただしコミックスでは5巻分と、どことなく端折ったかなぁと思うところがあります。トラブルあり勝利ありと、十分に盛り上がりはあったのですが、もっとこの後も続くのではないかと思えるのに、ラストを迎えてしまいました。F1などのサーキットレースと異なり、日本ではラリー競技そのものになじみが薄いために、人気が出なかったのかもしれません。雑誌連載が1990年と20年以上前の作品のため新刊としては入手困難ですが、モータースポーツ漫画で定評のある新谷かおる作品のため、文庫版として再発行されています。モータースポーツさながらに、一気に読みきってしまえるのではないかと思います。
次に徳間書店の少年キャプテンコミックスから発売された『デス・トラップ』(柴田昌弘)です。正体不明の隕石が衝突し、文明が崩壊しかかっている2047年、と少し未来世界の設定になっています。2012年の今日では35年後ですが、コミックスが発売されたのは1986年なので、この点で時間差を感じてしまいます。
2つの町の命運をかけた勝負として命がけのラリーレースが開催され、代表として不良高校生が選ばれる、なんてところは少年漫画の趣ですが、未来世界の設定やレースの裏側に隠された権力者の思惑もあり、短編ながら読み応えのある作品になっています。『その後はどうなったのかなぁ』と思ってしまうのですけれども、作者が断筆宣言をしていることもあって、描かれる可能性は皆無� ��のが残念です。
少年キャプテンコミックスの入手は難しいと思いますが、朝日ソノラマから『柴田昌弘傑作集2「デス・トラップ」』として再発行されています。コミックスに同時収録の、訳ありで不法レースに出場することになる『ケービング・ラリー'96』も同じように収録されているので、ラリー漫画は2倍味わえるはずです。
最後は講談社の「別冊ヤングマガジン」に連載されていた『FLAT OUT』(しんむらけーいちろー)です。若干18歳の日本人青年、剣龍也(つるぎ たつや)がWRC(世界ラリー選手権)に挑んでいくストーリーです。作者はスバルに思い入れがあるのか、主人公が乗るのもスバル(レガシー)、ライバルが乗るのもスバル(インプレッサ)、コミックスの表紙も全部スバルとなっています。こういったこだわりがあればこそのモータースポーツ漫画なのでしょう。
ただ残念なことに連載は約2年、コミックスは3巻で終了(第一部完)となっています。展開に勢いはあったし、内容も面白かったのですが、強いて言えばラリーなどのルール紹介の部分が多すぎたのかなと思います。もちろん説明に不要な部分などはなく、じっくり楽しむにはちょうど良いのかもしれませんが、一気に読んでいこうとするには障害になってしまうかもしれません。
今年のダカール・ラリーの結果は出場443台中、完走249台と過酷なレースでした。日本から出場した中では、三橋淳選手がドライバーを務めているトヨタ車体が市販車部門で準優勝、日野チームスガワラの菅原照仁選手が排気量10リットル未満クラスのトラック部門で優勝、連続30回出場の菅原義正選手が同クラス3位と活躍しました。
ただ不景気もあってか、日本からの参加者が減少傾向で、それと共に注目度も下がっているように感じます。それでもこれからも日本の技術と心意気を見せて欲しいと思います。
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